Review vol.18「Heart,Mind and Soul」

※reviewの加筆文は、最後に書いています。




Vocal Review vol.18
「Heart,Mind and Soul」
作詞 Mai Osanai
作曲 SOS


このバラード曲で珍しくジェジュンは、歌い出しを歌っていません。
けれども、「Oh why…」でジェジュンのフレーズが始まると、一気に曲が彼の色に染まって行きます。彼の甘くせつない声がこのメロディーにピッタリで、涙が出るほどです。
彼は、「僕をみるの…」のフレーズで、『く』の発音を高い音域にも関わらず、上手く上に抜いていますね。抜いているといっても、きちんと響いたきれいな声です。
また、「Oh why…」のフレーズは、中音域がとてもよく鼻腔にあたって、心地いい響きですね。そのためにさらに歌声が甘くきれいな歌声に聞こえます。
「君がひとつ瞬くたびに…」のフレーズは、男性の声というよりは、女性のアルトの声に近い響きです。
この彼の声の特性は、発声を変えた現在でも、同じ特性を持ちます。
彼の声は、ハイバリトンというよりは、女性のアルト(低音)の声質に非常に近いものがあります。
ですから、私達の耳に心地よいのかもしれません。
この特性は、神様が彼にだけ与えたものですね。
声は、持って生まれたものです。声質だけは、どんなに後で努力してもどうにもならないものがあります。一人一人、指紋が違うように、声にも声紋というものがあり、決して同じ声の人はいません。これだけは、神が彼に与えたものであって、それは、天性のものですね。
その与えられたものを、彼は彼自身の努力によって、他の誰もが追随できない高さにまで伸ばしてきました。彼自身の努力がなければ、決して天性だけでは、心を打つ歌を歌うことは出来ません。
そして、そうやって伸ばしてきた彼の声は、彼だけのもの。他の誰にも真似できない、彼独自のものです。ですから、私達はこの彼の歌声に固執するのです。
彼が歌わない限り、私達は、二度と彼のこの歌声に出会うことは出来ません。
彼の声が変遷しても、彼の本来持っている響き、音色は、誰にも真似できるものではなく、また失われるものでもないのです。
この曲は、本当に彼の声の特性をふんだんに聞かせてくれる曲ですね。
その声は、特殊なものです。この声が、初期のこの頃の特性を残しながら、発声を変えた後、音域が驚異的に伸びて、彼は自由自在に歌うことができるようになります。
「Heart, Mind and Soul」は、初期の頃の中で「Begin」と並ぶ代表作です。地声での発声でありながら、伸びやかで透明感あふれた声をふんだんに聞くことができる一曲です。
そして、やはり、声だけでなく、楽曲の表現力という部分で、彼は、他を一歩も二歩もリードした歌い方を展開しています。
彼の歌が、私達多くの人の心を打つのは、その声の特質もさることながら、歌い上げていく表現力にあります。
しかし、残念なことに、この日本での高い評価ほど、韓国では、彼の歌の評価は高くありません。そのことが、歯がゆくてなりません。
それは、彼の声質が、韓国語より日本語に合った響きであることが原因なのかもしれません。日本語と韓国語の発声の違い、これが、彼の声に与える影響は、少なからずあると言えます。
しかし、彼の日本での数年間の努力が今の歌唱力を培ったと言っても過言でないと私は感じています。この曲は、その歌唱力を表現した作品のひとつです。

このあと、彼の声は明らかに変化していきます。
それは、彼自身が語っているように、発声を変えるからですね。この後、私達は、彼が少しずつ、着実に新しい発声を身につけて、新しい声質を手に入れる過程を多くの楽曲と共に楽しむ事ができるでしょう。
この曲は、初期の貴重な彼の代表作であり、私の大好きな曲の一つです。


2012年10月11日(アメブロの旧サイトにて初掲載)



【2017年7月3日 review 追記】

5月にこのブログの定期更新を再開しました。
過去に書いたreviewを数年ぶりに書き直していて気づいたことがあります。それは、何度聴いても、いつ聴いても、彼の歌の印象は私の中で変わらない、ということです。
聴くたびに新しい発見があることは確かです。ですから、こうやって追記を書くことができます。でも変わらない部分もあります。それは、彼の歌の根幹ともいうべき部分で、彼の持つ声質、発声のメカニズム、音楽に対する姿勢など、何度聴いても、何年ぶりかに聴いても、絶対に変わらない印象があります。
これが、彼が歌手である所以であって、歌手以外の何者でもない、ということになります。
今、なかなか歌う機会のない状況が続いていますが、これが彼の歌手生命にどのような影響を与えるのか、ということを考えたことがあります。
この7年間で一番危機だと感じたのは、2012年でした。2010年に韓国に戻ったあと、2011年には両国とひたちなかに戻ってきました。けれども韓国では、アジアツアーをし、worldツアーを2012年3月にかけて行なっただけで、国内では、2010年の11月以降歌えなかった。結局海外で歌うしかなかったのです。特に彼は、ソロ活動をしませんでした。あくまでもJYJにこだわり、グループ歌手にこだわり続けました。結局、彼は、歌う場所を失ったのです。そして、2012年には、事務所によるサセン問題を発端とする嫌がらせの中で、事務所の思惑通り、歌手活動を諦めていく一年でした。俳優に転向したのかと思うほど、彼は全く歌わなかった。歌わなかったのではなく、歌わせて貰えなかった。その中で、彼自身が諦めてしまったように感じる一年でした。この一年のブランクは大きく、2013年のバースデーファンミ、さらに6月の横アリにおける彼の歌唱は、東方神起時代に歌い続けてきた彼の歌声とは比べ物いならないぐらい力量そのものが落ちていました。
これは、どんなに歌える歌手であっても、どんなに素晴らしい声を持つ歌手であっても、歌わなければ、歌えなくなる、ということを現実問題として彼自身と私達に突きつけたと言えます。
1月のソウルでのバースデーファンミのあと、アジアでの同様のファンミにおいて、歌いながら、自分の力量の衰えを一番感じたのは彼自身だったと思います。だからこそ、横アリの前には一週間以上も前に日本に戻り、連日の猛練習を重ねてきた。それでも3年近く満足に歌ってこなかったブランクを取り戻すことは出来ませんでした。
横アリの初日は、後半の「One Kiss」では明らかに息切れをしました。ステージ上でへばった彼を初めて観ました。DVDに残る二日目は、多くのミスが目立ち、歌い飛ばした部分が何ヶ所も存在します。3日目が、一番いい出来でした。それは、やっと3日目にして声が安定したこと。ステージに慣れたこと。歌手としての勘を取り戻したのだと言えます。ノーミスの3日目でしたが、それでも最後の曲「Glamarous Sky」では一ヶ所、高音の声を張り上げる部分で、声のコントロールが上手く行かずひっくり返ってしまいました。それほど、歌手にとって歌わない、歌う場所がない、歌えない、ということが、大きく影響を与えるものだということをまざまざと感じたコンサートでもありました。
2013年にもし、彼が歌えず、あと1年でも遅れていたら、もしかしたら、彼は歌えなくなっていたかもしれません。3年のブランクというものは、取り返しのつかないほど大きいものとも言える。ブランクを埋めるのは、練習しかない。
彼は、横アリ以降、どんなに歌う機会が少なくとも、声が落ちません。それは、おそらく自主的に練習を積んでいると思います。そういう点で、コンスタントに歌う場所が与えられた軍隊での2年は、彼を歌手ジェジュンのポジションに文句なく戻したと言えます。
何度も何度も「入る入る詐欺」とまで言われた入隊時期ですが、伸びたことで、彼にとっては、彼しか軍隊に活躍出来る芸能人がいないという状況になり、あれほど重宝されたとも言えます。軍隊生活の中で、軍務と音楽以外に何もない環境に放り込まれたことが、歌手ジェジュンにとっては、この上なく幸運だったとも言えるのです。

「Heart,Mind and Soul」は、そんな歌手ジェジュンが、初めてメインヴォーカルを取ったとも言える曲です。まだ地声で歌っていたこの頃ですが、その後の彼の歌声の変化を示唆する要素はたくさん含まれている一曲だとも言えます。地声で歌っていながら、非常に心地よい響きをした歌声なのは、それまでのハスキーなストレートな響きがすっかり影を潜め、鼻腔に当てた柔らかい響きになっているためです。
彼の初期の歌で私が最も好きな曲は、これです。
彼の優しい人間性の溢れた曲で、いつも音楽に対して真面目で真摯に取り組む姿。本質的な優しさを感じる一曲です。

歌には、歌い手の人間性が現れます。それは、避けようのない事実であり、だからこそ、彼の人間性に溢れる歌に触れたくなる。
「Eternal」と並んで、麻薬のような彼の歌の始まりとも言える1曲です。
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