Review vol.21「miss you」


Vocal Review vol.21 「miss you」
作詞:H.U.B. 作曲:鈴木大輔
日本の8枚目のシングル。
エイベックス・rhythm zoneより2006年11月8日発売


ジェジュンは、この曲の2ソロ目を担当。のっけから、完全に頭声の発声だ。
次々、ソロで歌う4人のフレーズの声を聴き比べてみるといい。全く彼の声だけが別次元の発声になっているのを感じるはすだ。
他の4人の歌声に必ず存在する地声の特徴的とも言えるノイズ音が、彼の歌声にだけは存在しない。
このノイズ音の存在が、実はハーモニーを作る時には、非常に厄介な存在になる。それぞれが持つノイズ音の波長が異なれば、それがハーモニーを崩す雑音となって存在するからだ。
彼の歌声が、誰の歌声とも非常に融和するのは、彼の声にノイズ音が存在しないからだ。ノイズ音とは、シャーシャーという掠れたような音のことを言う。これが、よくいえばハスキーな声ということになるのかもしれないし、直線的なストレートな声で、響きを感じない声にもなる原因だ。
彼の歌声を他の4人の歌声と聴き比べると、もう一つ、典型的な特徴が聞き取れる。それは、歌詞の最後の言葉の語尾が、「い」の発音で終わるところの歌いきりの響きに特徴的なものが現れる。
1番のサビ部分の彼のフレーズ「どこまでも守るから見つめて欲しい」の「い」の発音、また、2番のサビラスト「どこまでも守るから見つめて欲しい」の「い」の発音。このどちらもが、綺麗な響きで終わっている。
通常、「い」の発音は、非常に難しく、キツイ発音になりがちだ。特にフレーズの最後に「い」の母音がくる言葉の歌い方は、歌手にとって非常に厄介な代物で、歌いきりが難しい。キツイ歌いきりになってしまうと、そこだけがクローズアップされた言葉として印象に残ってしまう。頭声の発声をしていても、「い」が一番難しい母音になる。この部分を彼は見事に歌いきっている。
今回、慎重に聴き直したが、彼の歌声は、完成されていて、「Sky」から僅か3ヶ月足らずの間に完璧に頭声を身につけてきたことがわかる。
どれほど練習したのだろうかと思った。頭声を要求されたのは、彼だけだから、おそらく、メンバーのいない場所で、一人で黙々と練習を積んだに違いない。何度も何度も、練習を積み重ねたはずで、忙しいスケジュールの合間に彼だけが休憩時間や睡眠時間を削って、練習したと思われる。それを考えただけでも私は頭が下がる。そして、彼の並々ならぬ決意を感じるのだ。

Reviewを書いていて、このように彼の歌声の成長を発見出来る瞬間が一番、自分が音楽をやっていて良かったと思える瞬間だ。そして、ジェジュンという歌手の軌跡を辿ることが出来るのを幸せに思う。
彼は、最初から、努力の人だった。
真面目に努力し続ける人で、今も全く変わらない。だからこそ、歌手として、どこまでも進化し、可能性は無限に広がる。
その土台を支えるのは、この時期に彼が死にものぐるいで身につけた発声法にあることだけは、確かなことだと言える。

miss you
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追記しました。Review vol.20「Sky」



Review vol.20「Sky」
作詞:H.U.B.
作曲:H-WONDER。
7枚目のシングル。
エイベックス・rhythm zoneより2006年8月16日発売


この曲でジェジュンは、歌いだしの2フレーズを歌っている。あとは、最後のアドリブ的展開のソロヴォーカルライン、即ちオブリガードの部分だ。
前の曲「Begin」で地声による歌唱は終わり、と書いたが、まさにその通り。この曲の歌いだしから彼は明らかにブレスを混ぜた発声になっている。音域的には、低中音域のメロディーなのだが、それまでの固く伸びのない歌声とは異なり、弾力性のある響きのある声になっているのがわかるだろうか?
それまでの低中音域の声は、元々持っている地声の柔らかさで歌っていた。その為に、響きはない。
地声と頭声の顕著な違いは、声に響きがあるかどうかだ。わかりやすく言えば俗に言うビブラートがあるかどうか、という話になる。頭声で歌っていても、ビブラートのない人はいる。しかし、長いフレーズを歌えば必ず少しはビブラートが存在する。
また、このビブラートの有無と良質のビブラートを持っているかどうかが、聴く人に心地よい感動を与えるかどうか、という印象に大きく影響を与える。
地声では、決してビブラートは存在しない。

地声で歌っていた韓国での1年間と日本での1年目において、彼の声にはビブラートは存在しない。
「デビュー当時からの曲を聞いたのですが、どれが彼の歌声なのか全くわからなかった」と言った新規ファンがいた。
それぐらい、彼の歌声は、大きく変遷した。

この曲の歌いだしと最後のオブリガードの部分には、今ほどの色艶はなくとも、彼の歌声だとわかる特徴がいくつも存在する。
たとえば、息を混ぜた柔らかい発声音。今ほどの艶はないが、ビブラートの存在。低音域にも関わらずBGMに負けない良質の響き。伸びやかな高音。
特に後半部分におけるオブリガードの高音の伸びは、今までの彼の歌声とは全く異なる。「Begin」においての高音の伸びと聴き比べるとよくわかるかもしれない。
「Begin」の高音には、ビブラートが存在せず、さらに天井の存在を感じる。即ち、これ以上の高音は無理だろうと感じさせるものが存在する。しかし、「Sky」における高音部には、それが存在しない。もっと高音部でも歌えそうな伸びを明らかに感じる。低音部から高音部へと駆け上がるメロディーの流れに勢いを感じる。
これは、彼がブレスの勢いに乗せて、声を高く放り上げている証拠でもある。
このようなテクニックは、「Begin」には存在しなかったのだ。
この曲は、頭声を試している最初の曲であり、それゆえ、多くのパートを歌っていない。しかし、確実に彼の音域は広がり、響きを身につけている。
それを確かめることが出来る1曲なのだ。


追記 オブリガードについて

オブリガードというのは、メロディーとは異なる、メロディーを引き立てる役とも言えるもので、独自のメロディーラインを展開する。それは、往々にして、その歌手の力量に任され、楽譜に細かく旋律が書かれているというよりは、アドリブ的な要素によって、どのようにも展開されるメロディーのことを言う。
この曲における後半のジェジュンの歌は、まさにオブリガードと言えるものであり、彼のアドリブ的な要素によって、どのようにでも歌えるほど、声帯の動きが自由になったのを感じる。
まさに自由な大空に歌声がどこまでも羽ばたく、そんな感じだ。
それぐらい雄大な景色をオブリガートから連想させるのは、彼の自由になった高音部の発声のせいかもしれない。
よくジュンスがオブリガードを歌っている。それと比べてみればよくわかる。
オブリガードはあくまでも曲の雰囲気や主旋律を壊してはいけないのだ。単なる添え物なのだから。その添え物をどのように表現するか、によって、その歌手の音楽に対する意識が見えてくる。
オブリガード一つとっても、性格や嗜好は顕著だ。
彼のオブリガードと他のメンバーのオブリガードを聴き比べれば、なぜ、彼の歌声に惹かれるかの答が出るだろう。
たかがオブリガード、
されどオブリガードだ。



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Review vol.19 「Begin」

※reviewの加筆文は、最後に書いています。



Vocal review vol.19 「Begin」
2006.6.21 6th Single
作詞 小山内舞
作曲 JIN NAKAMURA



この曲はとても懐かしい曲ですね。
彼が日本へ来て、日本語の歌を歌うようになって 6曲目の歌です。
そして、彼が初めてメインパートを沢山、歌っています。
彼がメインの長いフレーズ歌う事によって、「東方神起」の音色が今までのハスキーで直線的な調べから、ソフトで曲線的な流れに変わりました.

それまで、彼は少しずつですが、長いフレーズを歌わせてもらえるようになっていました。
彼の初期の声の特徴である「透明感」と「少しハスキーな声質」の特徴がよく出ています。
また、初期の歌い方である「地声」で歌っているにも関わらず、伸びやかな歌唱を披露しています。
これは、この歌の音域ラインが彼のヴォイスチェンジにひっかからない、ちょうどいい音域で展開されているためだと思います。

発声的には、上あごの部分にとても声がよく当たっています。
喉の奥がとてもよく開いた状態なので、綺麗に声が伸びますね。
彼の初期の歌唱の代表曲です。


彼の歌唱は、最初出てきません。
今まで多くの曲が彼の歌唱から始まりましたが、この曲は、サビの部分まで全く歌いません。

曲の構成として、他のメンバーが歌い終わり、満を持して登場するのが彼の「everyday…」
に始まる歌唱です。
その後は、彼のソロがずっと続きます。

この曲で彼の歌唱力がベールを脱ぎます。

いつも思いますが、この人は持って生まれた伸びやかな声とは別に、独特の音楽感を持っています。
それは、曲の持つ雰囲気に自分の声も歌唱方法も見事に合わせてくる点です。
今でこそ、「七色の声」などと言われたりしますが、この当時の彼の声には、そこまでの多くの色は持っていません。
しかし、曲が描こうとする世界の雰囲気を壊さず、歌唱によってその世界を見事に具現する力は、この当時から非凡なものが感じられます。

私が、彼に惹かれた一番の理由は、「彼の声」でも「彼の容姿」でもありません。
「彼の持つ音楽センス」でした。
彼のようなタイプの声の持ち主の歌手は、確かに私の好みです。
何人か、同じようなタイプの声の歌手を私は好みます。
けれども、その誰もが彼ほどの曲に対する世界観を持ちません。

彼が他の歌手に比べて抜きんでて秀でている部分は此処です。

曲の持つ雰囲気、曲の持つ世界…
それを見事に歌い切ります。
決して、それは、彼の世界観ではありません。
曲の持つ世界観の具現です。

多くの歌手…特に美声を持ち、歌唱力を売り物にする歌手は、えてして「何を歌っても同じ」に
聞こえる…○○節…という経験はありませんか?

美声の持ち主は、自分の声の特徴を往々にして披露しすぎるきらいがあります。
その為、どの曲を歌っても同じように聞こえるという危険を常にはらんでいます。

しかし、彼の歌唱には、そういう所がありません。
それは、彼の歌唱には「自分を押し付ける」という所が全くないからです。

彼の歌唱は非常に「しなやか」です。
どんな曲にも馴染む天性の「素直さ」が溢れています。

曲の歌い出し、フレーズの途中からメンバーの歌唱を引き継ぐときに特にその特性が顕著に現れます。
メンバーが歌ってきた雰囲気を決して壊すことなく、それでいて、自分が歌っている間に見事に自分の色に塗り替えていきます。

その為、多くの曲の中で彼の歌唱だけが、印象に残るのです。

決して「自分を押し付けない」
決して「自分を主張しない」

それでいて、歌い終わった後は、見事に彼の音色に塗り替えられている…

そういう歌手を私は知りません。


この彼の天性の音楽性と歌手としての才能に強く私は惹かれ続けるのです。

だから、彼のソロ曲をどれだけ、連続で聞いても決して飽きないのです。


この「Begin」は、彼の初期の地声による発声の完成された歌唱曲です。

「Begin」を歌うために彼は、大きく口を開け、口蓋を大きく広げる発声に行きつきました。

おそらく、日本語の発音と歌詞のことばに原因があります。

歌詞に母音の「エ」音や「ア」音、また「オ」音という縦に広げる言葉が多用されていました。
そして、その母音で長く伸ばすメロディー展開になっていました。
そのために、彼の口は、自然と縦横に広く開き、口蓋も自然と上に上がる状態になりました。

その結果、この曲での歌唱は、地声なのに見事に声のポジションが上に当たっているのです。

地声なのにハスキーさは、殆んど消え、伸びやかな発声になったのは、これらの原因にありました。


彼の歌唱方法は、この後、大きく変化していきます。

この曲が彼の歌手としてもターニングポイントです。

後日、彼が「それまでは、どうやって声を出して歌ったらいいのかわからなかった。Beginを歌って少し、歌い方がわかった」と話しています。

彼は、この曲で歌手として最初の開眼をしました。

彼は、この曲で身につけた感覚…「口蓋を柔らかくして発声する」という
歌手として最も重要なテクニックを感覚として獲得したと思います。




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2012年2月23日(アメブロの旧サイトにて初掲載)



【2017年7月7日 review 追記】

この曲のreviewを5年前に書いた時、書くべき事はすべて書き尽くしてしまいました。彼は、この曲を2014年12月のJYJichigoコンで5年ぶりに歌いました。
あのとき、彼の中に笑顔はなかった。
多くのファンが喜びましたが、私は彼の中の苦悩を感じました。
彼は、決して東方神起時代の歌を歌おうとしなかった。
「ファンの人のイメージを壊したくない」
それは、彼が彼自身に課した不文律のようなものに感じます。
その戒めを破ってまで、歌わなければならなかったことに彼の苦悩を感じました。ですから、5年ぶりに聞いた彼の「Begin」は、とても物悲しい歌声でした。
あのとき、ずいぶん話題になったのが、5年ぶりに歌った彼の歌声もパフォーマンスも5年前と寸分違わない、という事でした。
4thのコンサートでの歌とichigoコンでの歌の彼の部分を並べて同時に歌わせると、全く同じ歌声とパフォーマンスになるというものでした。
多くの歌手は、歌うたびに微妙に歌い方やパフォーマンスが変わる。けれども彼の場合は、全く変わらない、ということが多いです。それは、それだけ彼の中でその歌を完全に消化しきっているということであり、徹底した練習によって、いつ、どんな場合でも同じパフォーマンスと歌い方が出来る。そういう卓越した力を持つ歌手であり、その力の陰には多くの彼の努力が潜むということの顕れでもあります。
ただ、この曲を初めて歌った時と5年ぶりに歌った時とでは、声の出し方に決定的な違いがあるのです。発売当時の彼の歌声は、地声であり、5年ぶりに歌った時は、頭声です。にもかかわらず、彼の歌い方は全くぶれません。これは、声のだし方が違うだけであって、彼の中では、歌い方が確立されているからです。また、この曲は元々、日本語の歌であって、それを声の出し方を変え、数年ぶりに歌っても、曲に対するパフォーマンスは変わらない、ということになります。これが、日本ツアーで披露した「One Kiss」を始めとする5曲の韓国語の歌を日本語で歌った場合と全く異なる点でもあります。
韓国語の歌詞で歌う場合と、日本語の歌詞で歌う場合において、彼は、声の出し方も曲の解釈も変えています。それによって、同じ曲でありながら、全く印象が変わってくるのです。

彼の日本語の曲は、宝石のように彼の歌声を輝かせる。
それが、地声であっても、変わらなかった頃の歌声です。
この後の曲から、彼の歌声は、明らかに頭声へと変化していきます。
地声の歌声の最後の曲とも言える1曲です。

Review vol.18「Heart,Mind and Soul」

※reviewの加筆文は、最後に書いています。




Vocal Review vol.18
「Heart,Mind and Soul」
作詞 Mai Osanai
作曲 SOS


このバラード曲で珍しくジェジュンは、歌い出しを歌っていません。
けれども、「Oh why…」でジェジュンのフレーズが始まると、一気に曲が彼の色に染まって行きます。彼の甘くせつない声がこのメロディーにピッタリで、涙が出るほどです。
彼は、「僕をみるの…」のフレーズで、『く』の発音を高い音域にも関わらず、上手く上に抜いていますね。抜いているといっても、きちんと響いたきれいな声です。
また、「Oh why…」のフレーズは、中音域がとてもよく鼻腔にあたって、心地いい響きですね。そのためにさらに歌声が甘くきれいな歌声に聞こえます。
「君がひとつ瞬くたびに…」のフレーズは、男性の声というよりは、女性のアルトの声に近い響きです。
この彼の声の特性は、発声を変えた現在でも、同じ特性を持ちます。
彼の声は、ハイバリトンというよりは、女性のアルト(低音)の声質に非常に近いものがあります。
ですから、私達の耳に心地よいのかもしれません。
この特性は、神様が彼にだけ与えたものですね。
声は、持って生まれたものです。声質だけは、どんなに後で努力してもどうにもならないものがあります。一人一人、指紋が違うように、声にも声紋というものがあり、決して同じ声の人はいません。これだけは、神が彼に与えたものであって、それは、天性のものですね。
その与えられたものを、彼は彼自身の努力によって、他の誰もが追随できない高さにまで伸ばしてきました。彼自身の努力がなければ、決して天性だけでは、心を打つ歌を歌うことは出来ません。
そして、そうやって伸ばしてきた彼の声は、彼だけのもの。他の誰にも真似できない、彼独自のものです。ですから、私達はこの彼の歌声に固執するのです。
彼が歌わない限り、私達は、二度と彼のこの歌声に出会うことは出来ません。
彼の声が変遷しても、彼の本来持っている響き、音色は、誰にも真似できるものではなく、また失われるものでもないのです。
この曲は、本当に彼の声の特性をふんだんに聞かせてくれる曲ですね。
その声は、特殊なものです。この声が、初期のこの頃の特性を残しながら、発声を変えた後、音域が驚異的に伸びて、彼は自由自在に歌うことができるようになります。
「Heart, Mind and Soul」は、初期の頃の中で「Begin」と並ぶ代表作です。地声での発声でありながら、伸びやかで透明感あふれた声をふんだんに聞くことができる一曲です。
そして、やはり、声だけでなく、楽曲の表現力という部分で、彼は、他を一歩も二歩もリードした歌い方を展開しています。
彼の歌が、私達多くの人の心を打つのは、その声の特質もさることながら、歌い上げていく表現力にあります。
しかし、残念なことに、この日本での高い評価ほど、韓国では、彼の歌の評価は高くありません。そのことが、歯がゆくてなりません。
それは、彼の声質が、韓国語より日本語に合った響きであることが原因なのかもしれません。日本語と韓国語の発声の違い、これが、彼の声に与える影響は、少なからずあると言えます。
しかし、彼の日本での数年間の努力が今の歌唱力を培ったと言っても過言でないと私は感じています。この曲は、その歌唱力を表現した作品のひとつです。

このあと、彼の声は明らかに変化していきます。
それは、彼自身が語っているように、発声を変えるからですね。この後、私達は、彼が少しずつ、着実に新しい発声を身につけて、新しい声質を手に入れる過程を多くの楽曲と共に楽しむ事ができるでしょう。
この曲は、初期の貴重な彼の代表作であり、私の大好きな曲の一つです。


2012年10月11日(アメブロの旧サイトにて初掲載)



【2017年7月3日 review 追記】

5月にこのブログの定期更新を再開しました。
過去に書いたreviewを数年ぶりに書き直していて気づいたことがあります。それは、何度聴いても、いつ聴いても、彼の歌の印象は私の中で変わらない、ということです。
聴くたびに新しい発見があることは確かです。ですから、こうやって追記を書くことができます。でも変わらない部分もあります。それは、彼の歌の根幹ともいうべき部分で、彼の持つ声質、発声のメカニズム、音楽に対する姿勢など、何度聴いても、何年ぶりかに聴いても、絶対に変わらない印象があります。
これが、彼が歌手である所以であって、歌手以外の何者でもない、ということになります。
今、なかなか歌う機会のない状況が続いていますが、これが彼の歌手生命にどのような影響を与えるのか、ということを考えたことがあります。
この7年間で一番危機だと感じたのは、2012年でした。2010年に韓国に戻ったあと、2011年には両国とひたちなかに戻ってきました。けれども韓国では、アジアツアーをし、worldツアーを2012年3月にかけて行なっただけで、国内では、2010年の11月以降歌えなかった。結局海外で歌うしかなかったのです。特に彼は、ソロ活動をしませんでした。あくまでもJYJにこだわり、グループ歌手にこだわり続けました。結局、彼は、歌う場所を失ったのです。そして、2012年には、事務所によるサセン問題を発端とする嫌がらせの中で、事務所の思惑通り、歌手活動を諦めていく一年でした。俳優に転向したのかと思うほど、彼は全く歌わなかった。歌わなかったのではなく、歌わせて貰えなかった。その中で、彼自身が諦めてしまったように感じる一年でした。この一年のブランクは大きく、2013年のバースデーファンミ、さらに6月の横アリにおける彼の歌唱は、東方神起時代に歌い続けてきた彼の歌声とは比べ物いならないぐらい力量そのものが落ちていました。
これは、どんなに歌える歌手であっても、どんなに素晴らしい声を持つ歌手であっても、歌わなければ、歌えなくなる、ということを現実問題として彼自身と私達に突きつけたと言えます。
1月のソウルでのバースデーファンミのあと、アジアでの同様のファンミにおいて、歌いながら、自分の力量の衰えを一番感じたのは彼自身だったと思います。だからこそ、横アリの前には一週間以上も前に日本に戻り、連日の猛練習を重ねてきた。それでも3年近く満足に歌ってこなかったブランクを取り戻すことは出来ませんでした。
横アリの初日は、後半の「One Kiss」では明らかに息切れをしました。ステージ上でへばった彼を初めて観ました。DVDに残る二日目は、多くのミスが目立ち、歌い飛ばした部分が何ヶ所も存在します。3日目が、一番いい出来でした。それは、やっと3日目にして声が安定したこと。ステージに慣れたこと。歌手としての勘を取り戻したのだと言えます。ノーミスの3日目でしたが、それでも最後の曲「Glamarous Sky」では一ヶ所、高音の声を張り上げる部分で、声のコントロールが上手く行かずひっくり返ってしまいました。それほど、歌手にとって歌わない、歌う場所がない、歌えない、ということが、大きく影響を与えるものだということをまざまざと感じたコンサートでもありました。
2013年にもし、彼が歌えず、あと1年でも遅れていたら、もしかしたら、彼は歌えなくなっていたかもしれません。3年のブランクというものは、取り返しのつかないほど大きいものとも言える。ブランクを埋めるのは、練習しかない。
彼は、横アリ以降、どんなに歌う機会が少なくとも、声が落ちません。それは、おそらく自主的に練習を積んでいると思います。そういう点で、コンスタントに歌う場所が与えられた軍隊での2年は、彼を歌手ジェジュンのポジションに文句なく戻したと言えます。
何度も何度も「入る入る詐欺」とまで言われた入隊時期ですが、伸びたことで、彼にとっては、彼しか軍隊に活躍出来る芸能人がいないという状況になり、あれほど重宝されたとも言えます。軍隊生活の中で、軍務と音楽以外に何もない環境に放り込まれたことが、歌手ジェジュンにとっては、この上なく幸運だったとも言えるのです。

「Heart,Mind and Soul」は、そんな歌手ジェジュンが、初めてメインヴォーカルを取ったとも言える曲です。まだ地声で歌っていたこの頃ですが、その後の彼の歌声の変化を示唆する要素はたくさん含まれている一曲だとも言えます。地声で歌っていながら、非常に心地よい響きをした歌声なのは、それまでのハスキーなストレートな響きがすっかり影を潜め、鼻腔に当てた柔らかい響きになっているためです。
彼の初期の歌で私が最も好きな曲は、これです。
彼の優しい人間性の溢れた曲で、いつも音楽に対して真面目で真摯に取り組む姿。本質的な優しさを感じる一曲です。

歌には、歌い手の人間性が現れます。それは、避けようのない事実であり、だからこそ、彼の人間性に溢れる歌に触れたくなる。
「Eternal」と並んで、麻薬のような彼の歌の始まりとも言える1曲です。