Review Vol.1 SMオーディション「その痛みまで愛したの」

Vocal Review vol.1 
「その痛みまで愛したの」
 



まず、最初に取り上げるのは、彼のSM練習生になる為のオーディションのvocalです。

オーディションは、ジェジュンが中学3年生16歳の時です。

曲目は、チョ・ジョンヒョンの「その痛みまで愛したの」

この歌を聞くと、彼の声質の1番安定した部分、すなわち中音域が、今の声とほとんど変わらないことがよくわかります。

私は、以前vocal reviewにも書いたことがあるのですが、彼の持っている音域の中で最も安定しているのが中音域です。

この声だけ聴いていると、もともと彼の声はバリトンだったのではないかな…と感じます。
バリトンとは、男性の3つの声域、すなわち、テノール(高)バリトン(中)バス(低)の中のちょうど真ん中に位置するものです。

彼の声は、バリトンの中でもハイバリといって、高い方のバリトンのように思います。


これは声域の話ですが、一方声質は、非常に柔らかく伸びのある音色をしています。

16歳(日本でいう15歳)というのは、男性では、完全に変声期を終了している時期ですね。

ジュンスが変声期終了まで10年かかったというのは有名な話ですが、普通男性の変声期は、12歳前後から始まり14.5歳には終了しています。

ですから、大体中学3年生では終了していると考えるのが普通です。


彼の声を聞いて、最も興味を引いたのは、彼の声が伸びやかな声質とテノールのような音色を持っているところです。


普通、テノールのように高音域を持つ人は、中音域がとても不安定で、特にレッスンをしてない素人の場合、響きが当たらず息が混じったような声になるのが特徴です。

プロとしてやっていくとき、テノールの人は、中音域を最も鍛えます。

中音域に響きが乗らないと、得意な高音域では綺麗な響きで魅了することが出来ても、その他の音域では別人のような声になり、歌手としては認められません。


彼の場合、とても細く伸びやかな高音域の片鱗が見えます。

全体に声がまだ弱々しく、身体を使わずに持って生まれた声と息だけで歌っているのがよくわかります。

全体の声は、細く伸びやかなテノールの様子なのに中音域だけは、バリトンのような声質をしています。

今とは、比べものにならないくらい弱々しい細い声ですが、中音域だけは、見事に正しいポジションで響いています。


ここが、KIM・JAEJUNGという人の声の不思議なところなのです。


この声を聞くと専門家は、「伸びる」と感じますね。


まず、変な癖が全くありません。

発声において、自己流の癖を持っていると教えるとき、教え手はとても苦労します。

でも彼は、素直に癖のない綺麗な発声をしています。

息の流れに載せて、自然に発声しています。

この時点で、彼は特別に何もレッスンを受けていないはずですから、これは天賦のものと言わざるを得ません。


歌に自信のある子どもは、皆、歌いすぎて何がしかの自己流の癖を持っている人が多いのですが、彼は、恐らくそこまで歌いこんでこなかったのではないでしょうか。


そして重要なのは、彼の中音域がもともと発声のポジションに当たっているということです。

稀に何も教えられなくても、鼻や頬骨の構造によって、中音域の発声ポジションに声が当たっている人がいます。

そういう人は、皆がとても苦労して身につける中音域の響きを簡単に手に入れることが出来るのです。

彼のこの時点での中音域の音色は、そんな感じがします。


そして、歌手としての魅力として成功するかどうかの鍵は、「声にがある」かどうかです。


「声に華がある」というのは、どういうことでしょうか?


教え手は、まず「歌手になりたい」という人間に出会ったら、声を聞きます。

歌の上手下手ではありません

その人が持っている声がどのような声なのか、ただその1点です。


「声」というものは、よく犯罪捜査でも使われるように「声紋」といって、指紋のように1人1人、皆違うものです。

全く同じ声の人は、この世の中に存在しません。

これだけは、持って生まれた神様から与えられたものです。


これが、歌をする人にとって、特にプロを目指す人にとっては最も重要なものになります。

「声に華がある」というのは、その人の声が他の人とは違う、どこか聞く人の心に心地よく残る声というよりも、もっときらびやかで印象に残る声ということです。


よく私達の世界では、「歌い手は、背中にバラをしょって歩け!」と言われます。


ステージへ出た瞬間、まず多くの観客の目を惹きつけなければなりません。

そして、次に第一声。

この第一声で勝負は決まると言われるほど、その人のvocalにとって重要なのは、「どんな声をしているか?」です。


どんなにテクニック的に秀でていても、声に魅力がなければ聴衆の心を惹きつけることはことは出来ません。

テクニック的に未熟であっても、その人の声が魅力的なら、聴衆はテクニックのことなど何処かへ忘れて「上手かった!」と評価します。


多くの聴衆を惹きつけることのできる声を持って生まれたかどうかで、歌手として成功できるかどうかのカギの1つを手に入れることが出来るのです。


その魅力的な声、鍛えれば「華」になり得る声、そして癖のない発声。

この重要なものを彼は、この時点で持っていました。


鍛えがいのある才能だと私は、思います。


それは、きっとsm関係者も見抜いたはずです。


これが、彼の現在のvocalの原点ですね。


でも本当に擦れていない、素直な感じの少年です(笑)

派手さは、感じられません。

ちょっと緊張しているのと、不安そうな心が瞳に映っています。

もっと、自信を持って歌えば、もっといい声が出たと思いますね。

彼の性格がよく現れている歌唱だと思いました。


これから少しずつ私と一緒に、彼の歌手としての歴史を辿ってみましょう!


次回は、デビュー曲「HUG」です。

KimJaejoong Vocal Review


ジェジュンに恋してる 

ジェジュンに恋してる 

2011年5月8日(アメブロの旧サイトにて初掲載)